フォトグラファーYASUです。私のArt Nude作品は、観る人を「物語」の中へ誘います。多くの方が驚くのは、「暗い部屋で撮っているのに、なぜこんなにも明るい朝の光景になるのか?」ということです。
この秘密は、自然光を一切排除し、すべての光をストロボで制御することで、**光を「描く」**という私の哲学にあります。映画や舞台のライティングと同じく、朝・昼・夜、いかなる時間帯の演出も、すべてストロボ光だけで創造しています。
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創り出された光が持つ「多機能性」—逆光の魔術
私が光を創る上で最も重要視するのは逆光です。
- 場の光の創造: 逆光は、ブース内に充満させた**霧(スモーク)と反応し、光の軌道を可視化します。これにより、空間全体に「朝の光」や「昼下がりの光」**といった特定の時間帯の雰囲気を再現します。
- 人物の造形と補正: 逆光は、単に明るさを作るだけでなく、人物の**エッジ(輪郭)**を際立たせ、体を細く見せる魔法のような補正効果をもたらします。さらに、レンズとの組み合わせ次第で、フレアやふわっとした幻想的な印象の演出にも効果的です。
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CANON新旧レンズとオールドレンズが光の質感を変える
光の質感と「物語のムード」は、レンズによって劇的に変化します。私は、その狙いに応じてCANONのEF(一眼レフ時代)とRF(ミラーレス時代)の単焦点レンズ、さらには1960〜80年代のオールドレンズを使い分けています。
レンズの種類 | 狙いとする光の表現 |
EFレンズ(特に85mm以上) | 強い逆光下で、フレアや全体のふわっとした印象を出し、ノスタルジックで柔らかなムードを演出します。 |
RFレンズ(最新設計) | 逆光耐性が強く、エッジやピント、描写を際立たせます。硬く強い光の中で、重厚でシャープな印象を創り出すときに使用します。 |
オールドレンズ | 独特なボケ味や収差を利用し、作品に唯一無二の歴史感やアーティスティックな歪みを加えます。 |
Google スプレッドシートにエクスポート
このため、私の単焦点レンズは全域で最小絞り(F1.2〜F1.4)のレンズを揃えており、個人カメラマンとしては圧倒的なレンズ量を誇ります。この機材への妥協なきこだわりこそが、後加工では不可能な本質的な光の演出を可能にしています。