第1回 【哲学の宣言】なぜ私は「自然光」を捨てるのか?
導入:暗闇で創る「朝の光」の驚き
栃木県宇都宮市を拠点とするフォトグラファー YASU(笹沼泰昭) が描くのは、ただの写真ではなく**「物語を感じるアート作品」です。私の撮影を見た方は、薄暗い部屋でストロボを発光させたにもかかわらず、仕上がった写真がまるで明るい朝の日差し**に包まれたかのように見えることに驚かれます。
私の活動は、広告代理店勤務、専門学校講師を経て、広告・商業撮影の経験とグラフィックデザインのバックグラウンドを持つプロフェッショナルカメラマンとしてのキャリアに基づいています。この連載「光の言語学」は、技術の習得だけでなく、プロの**「思考」**を学ぶための講座です。
プロの原則:コントロールできない定常光は使わない
写真撮影において、光の状態が写真の仕上がりに大きく影響を与えることは間違いありません。太陽光や電球、蛍光灯などの光は定常光と呼ばれ、その場にある光を指します。定常光は、向き、角度、強さが刻々と変化し、予測が困難です。
私の哲学の根幹は、「自分でコントロールできない光は使わない」ほとんど使いません。皆無と言ってもいいくらい使わないのです。
その代わり、全ての光をストロボ(閃光)で制御して、場をつくります。閃光とは、瞬間的に発光する光のことです。ストロボ光を完全に掌握することで、現実の環境に依存せず、朝、昼、夜の演出も全てストロボ光だけで作ることが可能になります。これは、映画や広告、ドラマ、舞台などの世界と同じ手法です。
商業的使命:光の戦略的制御
光の完全制御は、単なる美学ではなく、商業的使命です。プロの写真とは、単に綺麗に撮ることではなく、売上やブランド価値に直結する戦略的な光の制御であり [会話履歴]、意図した結果を再現性高く生み出すために不可欠です。
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【本日のまとめと次のステップ】
• 本日の要点: 私の「光の言語学」の基礎は、光を**定常光(環境光)ではなく、完全に制御可能な閃光(ストロボ光)**と見なし、時間や温度といった「場」そのものを創造することにあります。
• 哲学との接続: この制御された光は、モデルに対し、常に最高の状態をつくることを目指す プロフェッショナルの必須条件です。
• 次回の予告: 次回は、この「制御された光」で、どのように映画のワンシーンのような演出を実現しているのか、霧(スモーク)硬い光の秘密に迫ります。
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